平成28年8月31日に公表された一般社団法人金融先物取引業協会(金先業協会)と東京外国為替市場委員会が実施したアンケート実態調査の集計結果の検証、第5回目です。
前回は、「顧客約定とカバー取引のタイミング」の回答オプション、『前』『後』『裁量』それぞれの意味について書きました。
では、日本の業者の採用状況はどうなっているのでしょうか?
アンケートの集計結果を取引順位グループ毎に区切って表にまとめてみました。下記をご覧ください。
顧客約定とカバー取引の
タイミング |
取引額順位 1~19位 |
取引額順位
20~38位 |
取引額順位 39~56位 |
『前』
カバー取引が先に成立した時に限り顧客との約定を行う場合 |
4 |
4 |
12 |
『後』
顧客取引が成立した後にカバー取引を行う場合 |
15 |
12 |
6 |
『裁量』
カバー取引を行うタイミングを顧客との取引成立の前後どちらでも行うことができる場合 |
6 |
4 |
3 |
ここから何が分かるでしょうか?
取引額順位が上がれば上がるほど、カバー取引のタイミングが『後』の場合が多い、という一つの結論に達することができます。
逆にカバー取引を顧客約定『前』に実施している業者は、取引額順位が低いこともこの表から分かるかと思います。
これらの点からも、日本においてはA Book業者が少なく、B Book業者が取引額の大半を占めていることが分かります。そもそも固定スプレッドを提供するためには、カバー先の約定を待つことなんてできないわけですから、FX業者の殆どが固定スプレッドを提供している日本においては、当然といえば当然な結果なのかもしれません。