コードと準拠法との関係

そもそもグローバル外為行動規範(略:コード、英文:FX Global Code)の法律的立ち位置はどうなっているのでしょうか?各国の関連準拠法に取って代わるものとして想定されているのでしょうか?

今回は本コードと準拠法(法律や規制)との関係について考えてみましょう。

 

実は「行動規範の策定」という取り組みは今回が初めてではありません。

今までは各国/地域において独自のコードが存在していました。

例えば、本邦においては1993年に東京外国為替市場委員会が初めて本格的な行動規範を作成して、その後は随時改訂版を公表してきました。2013年版が直近のバージョンになりますが、表紙の色から「オレンジブック」と呼称されていたようです。また、 2015年5月にオレンジブックを補完する形で「外国為替取引ガイドライン(ブルーブック)」が公表されました。

今回のグローバル外為行動規範は、これまで各国/市場に存在していた独自の行動規範にとって代わるものとして策定されました。これによって、今後は世界中の外為市場で同一の行動規範が適用されると同時に、各国において異なる行動規範が存在するという状態を解消することになります。

この点について、コードの序文には以下のように述べられています。

グローバル外為行動規範は、外国為替市場における適切な慣行に関する一連のグローバルな原則を示し、外国為替ホールセール市場の健全性と円滑な機能の促進に向けた共通のガイドラインを示すために策定された。

本コードが「グローバル」に適用されるべき「共通」のガイドラインであることが明記されています。

ただ、ここで注意していただきたいのが、本コードが「原則」であるという点です。つまり、あくまで原則ベースのガイドラインであって、法律や規則ではないのです。

これまで各国で策定されていた行動規範も同様、法律や規制ではなく、自主的なガイドラインでした。

コードの序文にはさらにこのように書かれています。

グローバル外為行動規範は、市場参加者に対し法律上、又は規制上の義務を課すものではない。また、規制に取って代わるものでもない。グローバルに適切な慣行やプロセスを明示することにより、各国のあらゆる法律、規則、及び規制を補完する役割を果たすことを企図している。

はっきりと法律的な「義務を課すものではない」、「規制にとって代わるものではない」と書かれていますね。

 

また、コード内の「グローバル外為行動規範と準拠法」というセクションには以下のように書かれています。

市場参加者は、自己及び事業を行っている法域の外国為替市場に対し適用される法律、規則、及び規制(準拠法)を理解し、これらを遵守しなければならない。市場参加者は、このような準拠法を遵守するために、社内ポリシーや手続きを規定する責任を引き続き負う。

本ガイダンスの内容は、準拠法を代替又は修正するものでは決してない。

つまり、本コードは各国の準拠法にとって代わるものではないので、市場参加者はまずそれぞれの国の法律にしっかり従う必要がありますよ、と。その上で、本コードに定めた「外国為替市場における適切な慣行に関する一連のグローバルな原則」をみんなで当てはめることにより、業界の信頼性を高めていきましょう、というわけです。

 

まとめ

  • グローバル外為行動規範はあくまで「原則」であり、準拠法(法律、規制)に取って代わるものではない。市場参加者は、各々が属する国や地域の準拠法を理解し遵守すべきである。
  • グローバル外為行動規範は、今まで各国/地域で独自に策定されていた行動規範に取って代わるものである
  • とはいえ、各国/地域には独特の取引慣行が存在するので、グローバル外為行動規範の趣旨を損ねない限りにおいて、各国/地域においてローカル特則を設けることが認められている

図に落とすとこんな感じになります↓

 

乱暴な言い方をすれば、本コードは法律ではないので、遵守しなくても何らペナルティがないわけです。もちろん今後はレピュテーショナル・リスクは存在するようになると思われますが。

では、どうやってこのペナルティの無い「原則」を全ての市場参加者に遵守してもらうことができるのでしょうか?

次のセクションでは、その取り組みについて考えます。

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